ご挨拶

第6回血管腫・血管奇形研究会  会長 佐々木 了
KKR斗南病院 形成外科 血管腫・血管奇形センター

 

 この度は、第6回血管腫・血管奇形研究会の会長を拝命し、『北の大地』北海道の道都札幌において学術集会と第1回講習会を開催させていただくことを、誠に光栄に存じます。
 本研究会は、昨年の第5回会長ご挨拶文にもありますように、2002年頃から10名ほどの若手形成外科医により主に血管奇形の硬化療法などに関する勉強会の形で始まりました。その後、会の趣旨に賛同していただける方々の増加に伴い、2005年に第1回血管腫・血管奇形研究会として正式に開催し、今回第6回研究会を迎えるにいたりました。定例集会を重ねるうちに、徐々に会員数も増加して、現在では会員数100名近くとなっております。

 

 研究会の発端は血管奇形の硬化療法に関する勉強会でありましたが、血管腫、血管奇形の病態及びその治療は多岐にわたっており、単一の治療手技にこだわった研究には大きな限界があります。現在の本研究会は、硬化療法のみならず外科的手術やレーザーなども含めて、血管腫、リンパ管奇形、血管奇形における種々の治療および研究についての発表集会活動、関連団体との協力や情報提供、治療の進歩普及を図ることなどを目的とし、血管奇形に対する硬化療法の保険収載に向けて行政組織を含めた各方面への働きかけも会の活動の重点項目として行っております。2008年には日本形成外科学会専門医資格更新のための生涯教育基準点数「参加点数3点」が承認され、また現在は放射線科、皮膚科などの各科の先生にもご参加いただき、将来的には病理医や基礎研究者なども含めた形で血管腫、血管奇形を総合的に研究できる学術団体となることを目指しております。

 

 血管腫、血管奇形は全身どの部位にも発生しうる疾患で多彩な症状を呈し、その診療科は多くにまたがっております。単一の診療科のみでは経験症例数も蓄積が不十分で、診断や治療法の選択には、一定のガイドラインも出来上がっておりません。多大な手術侵襲や出血や機能障害などの可能性から治療を断念するケースもあります。各種薬物療法や硬化療法、レーザー治療などの有効性の検討もこれからの課題です。一方、患者の立場から見ると、どの診療科にかかればよいかわからない、症状や部位ごとに診ている医師が異なり毎週のように別々の病院に通っている、かかりつけの医師からは「治らない」とだけ言われ途方にくれている、痛みやつらさを医師にもわかってもらえない、「見た目なんてどうでもいいだろう」と突き放されてしまった、やっと専門医を見つけたが遠距離のため経済的にも負担がつらい、など大いなる不安や苦しみを抱えて日々の生活を送っておられる現状があります。患者やその家族のご苦労を解消するためにも、本分野のさらなる研究と社会的環境整備および総合的治療を担える専門医の育成は急務であり、本研究会の責任は重大であると自負しております。

 

 今回の学術集会では、放射線科を中心とした組織である「血管腫・血管奇形IVR研究会」の代表世話人を務めておられる今井茂樹先生にランチョンセミナーをお願いし、患者組織の代表者として木村香織氏(『血管腫・血管奇形の患者会』代表)、佐藤朋子氏( 『混合型血管奇形の難病指定を求める会』事務局長)のご両名に活動の状況をご講演いただく予定です。また、本研究会としての初めての試みですが、硬化療法ライブデモンストレーションと講習会を併催することにいたしました。学術集会、講習会の運営には、斗南病院加藤紘之病院長ならびに北海道大学形成外科山本有平教授のご高配により斗南病院、北大形成外科学教室のご協力をいただいております。参加者皆様のご研究や臨床に少しでも役立てるようプログラム等を熟慮したつもりではありますが、不備な点も目に付くかもしれません。市井の一臨床医の学会運営経験不足から生じるものとご理解いただきお許しいただけると幸いです。

 

 本研究会にて、活発なるご意見、ご討論が大いにかわされることを期待しております。