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生殖内分泌科

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体外受精・胚移植

1. どんな時にするのですか?

卵管がつまっている、精子が少ない、精子に対する抗体ができている、子宮内膜症がある、などのため一般的な治療をしてもなかなか妊娠しない時に行います。原因不明の場合も2年間通院して妊娠しない時には適応と考えております。

2. どんなふうにするのですか?

まず卵を採取します

経膣超音波ガイド下に採卵をします。膣内に挿入した超音波のプローブで卵巣を見ますと排卵直前の卵胞は直径約2.0cmに腫れているのがわかります。その卵胞をめがけて膣壁から注射針を穿刺し吸引します。すると卵胞の壁のどこかにくっついている卵が壁から離れて吸引されてくるという仕組みです。すごく痛そうに思われるかもしれませんが、それほどでもありません。膣壁に局所麻酔をし鎮痛剤の座薬も併用します。

複数の卵を採取する必要がありますので排卵誘発剤を使います。自然周期でも良いのですが、自然周期の場合は卵が1個のことが多く、採卵しようと思った時に、うまくコントロールしにくく、すでに排卵してしまっているという事態が発生する可能性があり、そのため完全にコントロールされた排卵誘発剤の使用が必要になります。

排卵誘発剤を使うと平均9~10個の卵がとれますが、多嚢胞性卵巣など特殊な体質の場合、時に50個以上の卵が取れることがあります。このような場合もし妊娠すると腹水が大量に溜まったり胸水が溜まったりして重篤な合併症を引き起こしてくることがあり、これを卵巣過剰刺激症候群と言います。このような可能性がある場合、胚移植せず受精卵をすべて凍結し保存すると重症化を防ぐことができます。

採卵は原則として入院せず外来的におこないます。局所麻酔で痛みを感じる場合は一日だけ入院して静脈麻酔で採卵することもできます。

次に精子を準備します
用手的に採取していただいた精子を洗浄し適当な濃度に調整し用います。試験管の底に精液をいれ、その上に培養液を重層しておくと元気の良い精子だけが泳ぎあがってきます。精子濃度が少ない場合は特殊な培養液を使って遠沈します。
次には体外授精・培養です

小さな容器の中に培養液を入れ卵と精子をいっしょにします。いっしょにしてから間もなく卵に精子が進入し受精します。精子が極端に少ない場合は顕微授精をします。

1/200mm位のガラスの針にあらかじめ精子を一匹吸い込んでおき、卵に刺して精子を注入する方法です。この方法だと一個の卵には一匹の精子でOKです。精液中に精子が一匹もいなくても、睾丸の中には少数ですがいることが多いのですが、そのような場合には泌尿器科外来で局所麻酔下に睾丸を穿刺し精子を採取し、顕微受精で妊娠することが可能です。精巣内の精子の採取も入院せず外来的におこないます。

それでも精子が採取されない場合には入院して、全身麻酔下に手術室で精巣を切開して、顕微鏡下に精子が存在しそうな精細管を採取して、精子を採取します。この場合は入院が必要です。

最後に受精卵の子宮内への移植です
経腹エコーで子宮内を確認しながら細いカテーテルで受精卵を子宮内へ移植します。移植といってもただ入れるだけで痛みはありませんので麻酔はしません。受精卵が一個もできないということはほとんどありませんが、ほとんどの人が妊娠するというわけではないのは移植後の着床が難しいためです。

3. いままでの実績は?

平成25年の当科における新鮮胚移植あたりの妊娠率は34歳以下が50%、35~39歳が33.3%、40歳以上が0%です。凍結胚移植あたりの妊娠率は34歳以下が64.0%、35~39歳が44.1%、40歳以上が15.8%です。

4. 副作用および先天異常発生、多胎妊娠、子宮外妊娠についてはどうですか?

穿刺する膣壁の近くに存在する血管、腸管、膀胱、尿管を穿刺する際に傷つけてしまうことがあります。また、穿刺部位からの感染が起きる可能性もありますが、当院ではこれまでに1例も重篤な副作用、合併症を起こしたことはありません。

基本的に1個の受精卵を子宮内に戻します。最大2個の受精卵を戻す場合がありますが、その場合、多胎妊娠の可能性があります。80%は単胎ですが、20%は双胎です。
妊娠の3~5%の頻度で子宮外妊娠が存在します。子宮腔内に戻した受精卵が卵管内へ逆流してしまう事によって起こります。子宮外妊娠の場合は手術などの治療が必要になります。

現在まで、当院の先天異常の発生率は1.5%で自然妊娠と差がありません。体外受精・顕微授精によって先天異常発生率が高くなることはないといわれていますが、自然妊娠に比べて1.3倍位の発生率になるという報告もあります。先天異常の発生率については今後も検討が必要と考えております。

5. 費用については?

斗南病院は公的な病院であり、また本法は本来保健が使える診療であるべきと考えておりますので、なるべく高価にならないよう心がけております。

採卵料
  • 65,000円(採れなかった場合は35,000円)
  • (※採取時新たに採卵針を使用した場合、針1本につき6,000円の追加料金がかかります。)
培養・受精卵移植料 100,000円(胚移植できた採卵5回目からは50,000円)
全胚凍結後の
初回胚移植料
150,000円(初回移植料+凍結料+融解料)
受精卵凍結料 5本まで20,000円(6本目以降は1本ごとに5,000円)
凍結受精卵移植料 30,000円
二段階胚移植料 通常移植料+10,000円
アシステッドハッチング 5000円
顕微授精料 20,000円
精子凍結料 6,000円

                                              (税別)

つまり通常の体外受精で、薬や注射も含めて一回約25万円くらいです。これはおそらく国内の平均か下回る値段と思います。最初の胚移植では25~30万円くらいかかりますが、その後の凍結受精卵移植は8万円くらいですみますので、凍結受精卵が多いと合理的です。

6. 体外受精を何回かやっても、なかなか妊娠しない場合にどんな工夫をしていますか?

通常の体外受精・胚移植を3回して妊娠に至らない場合次のような工夫をしています。

胞胚期移植
本来受精卵は卵管で受精した後、分割を繰り返して、子宮腔内にもどってくる時の状態は胞胚です。通常胚移植している4細胞、8細胞期は本来卵管の途中にいるべき時なのです。従来は胞胚期用の培養液がなかったため4細胞、8細胞でもどしておりましたが、現在は胞胚期用培養液が改良されつつあり当科では平成10年から始めました。胞胚までいく確率が30%と低いのですが、ひとたび胞胚になると50%妊娠します。
アシスティド ハッティング
これは受精卵を包んでいる透明帯という膜に1/3位(平成13年から1/2に改良しています)のスリットを入れる方法です。受精卵は最終的にこの膜を破って抜け出していかなければ着床できないのですが、この方法は抜け出しやすくする方法です。顕微授精で受精し凍結した受精卵に用いると特に有効です。
凍結胚移植に用いるホルモン補充にどんな薬剤をどのくらい使うべきでしょうか?
これは妊娠8週くらいまで使いますのできちんとした実績に裏づけられた薬剤であるべきです。唯一実績のあるのは米国で1987年以前から使われていて自然ホルモンであるestradiol 17βのみで、該当する薬剤にはエストラダームMがあります。
GIFT,ZIFT(配偶子卵管内移植、接合子卵管内移植)
これらは1995年以前全国でおこなわれていた方法ですが、開腹手術、腹腔鏡下手術となるため最近はあまりおこなわれません。しかし、もともと自然に近い方法のため妊娠率が40%を超えます。頻回不成功の場合には一考に値すると考えております。
子宮内膜が薄い場合の方法
ホルモン補充療法の卵胞ホルモンを少ない量で長期間使う、多い量を短期間使う、通常の量を通常の期間使うなどに加えてバイアグラ膣錠、アスピリン低容量療法、ペントキシフィリン+ビタミンC+ビタミンEなどを併用します。これらのどの方法が合うか場合によって異なると考えています。これをやったら厚くなるという万能の方法はないようです。

7. それでも妊娠しない場合は?またいろいろ悩みがある場合は?

面談=作戦会議をします。面談は体外受精開始当初からおこなっていますが、最近、この面談の重要性を痛感しています。体外受精開始当初は体外受精の説明のための時間でしたが、現在はそれと同時になかなか妊娠しない場合の作戦会議として、また一般的な不妊症のガイダンスとして、さらに多くの人たちがおちいりがちな心理的な圧迫感に関する相談、カウンセリングとして位置づけております。
外来の最中だと十分時間がとれませんので外来診療時間外にご希望に応じて日程を相談の上、ご夫婦と担当医師の3人で、どうしたらよいか、これからの治療方針、考え方を話し合います。

斗南病院、生殖内分泌科では内視鏡、内視鏡下手術も多くおこなわれます。

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