各部門のご案内

放射線部では患者さんによりよい医療を提供すべく、スタッフ一同、他職種の方々と連携をとりながら日々業務を行っています。
最近の医療機器の発展によって、さまざまな検査ができるようになり、その機器のポテンシャルを発揮し、診療や治療に有益な医療情報を提供することも、放射線技師の責務であると感じています。

放射線技師ってなぁに?

よく「レントゲン技師さん」と言われますが、それは昔の呼称であり、現在では「診療放射線技師」という名前が正式な呼び名です。
診療放射線技師は医療分野における人体に対する放射線検査・治療を行うことができる唯一の専門技術者です。
斗南病院で働く私たちの仕事にはエックス線撮影・造影検査・CT・MRIなどがあります。病院をはじめとする医療機関ではこの他に核医学検査・放射線治療・超音波検査などの検査も担当します。

医療で使われる放射線と被ばく

「放射線」と一言で言ってもその種類はいろいろあり、医療現場で主に用いられているものにエックス線、電子線、ガンマ線、陽電子線などがあり、詳しい説明は省きますがそれぞれが異なった特性を持つ放射線です。ここではエックス線についてお話します。
放射線が人体に照射されることを特に「被ばく」といい、どんなに少量の放射線を浴びても被ばくといいます。この「被ばく」の度合いを表した値を「線量当量」といい「シーベルト(Sv)」という単位で表します。
この「Sv」を用いて実際の被ばくの量を表してみます。
私たちは日々通常に生活をしていても「自然放射線」というものにさらされています。これは普通に生活していては防ぐことのできないもので、宇宙線と呼ばれるものや、自然界の中には自ら放射線を放つ鉱物も天然に存在しており、岩石や植物などからも微弱の放射線を浴びて生きています。これらすべてを合わせると日本人は1年間で平均2.4mSv(ミリシーベルト:1Sv=1000mSv)の量を被ばくしているといわれています。この自然放射線の量は地域によってとても差があり、地球上で一番自然放射線が多いとされている地域では1年間に約10mSvの被ばくがあるといわれています。
放射線とか被ばくというと、いろいろな健康被害を及ぼす「悪いモノ」としての認識が世間に浸透しているように思いますが、では実際、どの程度被ばくすると健康被害が現れるのでしょうか。
放射線が人体に及ぼす影響については未だに議論されている分野であり、これから新たな知見がでてくるかもしれませんが、現在のところ200mSv以下の急性被ばく(瞬間的な被ばく)に関して健康被害が出たという報告はないようです。また体のなかでも特に放射線の影響を受けやすい組織や臓器(脊髄や生殖器など)でも、500mSv以下の急性被ばくに関して、放射線による病気の発現はありません。
では医療現場で行われているエックス線を用いた検査の被ばく量はいったいどの程度でしょうか?
結論から言うと、患者さんの体格により変わりますが、胸部のエックス線写真では0.1mSv、腹部のエックス線写真では2~3mSv、CT検査では>4~10mSv程度の被ばく量があります。
この量について、多少の感じ方は人それぞれだと思いますが、個人的には、先に述べたように200mSv以下の急性被ばくに関しての健康被害が今のところ報告されていない現状を踏まえると、有意に少ない量だと思います。
また患者さんの体格により変わる、と書きましたが、これは診療に適する画質にするために必要な放射線の量は患者さんの体の大きさに依存しており、体が大きい人ほど多くの放射線の量が必要となるためです。よって、子供と大人、小柄な人と大柄な人では被ばくの量が変わってしまいますが、今の診療で用いられている放射線発生機器の多くには、診療に適するような画質を得るために必要なエックス線量を自動的に制御してくれる機能がついていますので、不必要に多くの被ばくをすることはありません。
このように、昨今の医療機器の発達や関係者らにより、エックス線検査(エックス線写真やCT検査など)は必要最低限のエックス線量で行われており、健康被害の可能性を少しでも減らそうと努力しています。(「行為の最適化」)PET検査や放射線治療に関しては、放射線を使うのですが、エックス線を用いて行う検査ではなく、また放射線量も大きく変わるので、ここでお話したことは当てはまりませんのでご注意を。
またMRIは磁場による検査で、一切の被ばくはありません。

どういうときに放射線を用いた検査を行うのか?

被ばくというデメリットがあるのにも関わらず、なぜ放射線が医療の現場で使われ続けているのでしょうか?
それは、皮膚を切らずに体の中を観察できるという大事なツールだからです。先に述べたように、医療現場で使われる放射線の量は必要最低限に抑えられていますし、健康被害が現れる可能性も極めて低いです。
この放射線による健康被害のリスクと、放射線を使った検査をして得られる情報の有益性とを比較して、検査の有益性が上回るときにのみ、放射線を用いた検査をします。これを「行為の正当化」といい、医療現場において放射線を用いた検査をする際に最重要事項となるものです。放射線を用いた検査によって得られる有益性が健康被害のリスクを下回る場合には、検査をしてはいけないのです。この判断は医師がするものです。

医療現場における放射線利用の3原則として、
  • ①行為の正当化
  • ②行為の最適化
  • ③線量制限

があり、①>②>③の順に優先順位が決められています。すなわち、放射線検査が必要かどうかを判断し(①)、その検査で使われる放射線量は必要最低限に抑えられて(②)いなければいけないわけです。③の線量制限に関しては、先ほども述べたようにエックス線検査やPET検査、放射線治療で使われる放射線量を比較したとき、その患者さんの状態や、検査・治療の目的も異なり、必要とされる線量も線質(放射線の種類)も大きく異なるので、これについては明確な制限は設けられていません。

以上、エックス線検査についてお話してきましたが、少しは理解していただけたでしょうか。
このように医療現場における放射線検査は、放射線利用の3原則に基づいて行われています。また診療放射線技師は、臨床現場における放射線検査のみならず、放射線発生装置の日常管理や放射線量測定など、放射線に関するさまざまな業務を行うことができるのです。

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